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NEW!!2016.4.15

【下野新聞朝刊に『七日』の記事が掲載】

 

2016/4/15

下野新聞朝刊 栃木面にて映画『七日』の大田原上映の記事が掲載されました。

 

下野新聞様、ありがとうございました。

 映画『七日』は4月16日、17日、24日にいよいよ愚豚舎地元・栃木県大田原市で上映となります。

 

皆様、ぜひご来場くださいませ。

 

■渡辺監督の映画「七日」を上映

 

【大田原】

昨秋の東京国際映画祭で日本映画スプラッシュ部門にノミネートされた紫塚3丁目、

映画監督 渡辺紘文さん(33)の作品「七日」の上映会が、16日から市内で開かれる。

感謝の意味を込め、全国に先駆けて地元で開催。渡辺監督は、音楽監督を務めた同所、

弟 渡辺雄司さん(30)と共に毎回舞台あいさつする。

「七日」は一緒に暮らす「牛飼い」の男と祖母の生活を描いた、せりふのない異色作。

市内と那須町で撮影、モノクロ110分。映画製作集団「大田原愚豚舎」製作。

渡辺監督は「一見同じに見える営みの中にも豊かな感情があることを描きたかった。

市のみなさんの協力があってできた」と話す。

上映会は、16日は市総合文化会館、17日は市ピアートホール、24日は市那須与一伝承館で、いずれも午前10時と午後2時の2回。17日のみ前作「そして泥船はゆく」を上映する。

鑑賞料金は各回1千円、当日販売。


NEW!!2016.4.9

【毎日新聞朝刊に『七日』の記事が掲載】

 

2016/4/8

毎日新聞朝刊 栃木面にて、映画『七日』の大田原上映の記事が掲載されました!!

皆様、ぜひ、ご覧ください!!

 

毎日新聞様、ありがとうございました!!

 

映画『七日』は4月16日、17日、24日にいよいよ愚豚舎地元・栃木県大田原市で上映となります。

 

皆様、ぜひご来場くださいませ!!

http://mainichi.jp/articles/20160408/ddl/k09/200/078000c

 

【大田原を拠点に製作  渡辺監督、地元で上映会 東京国際映画祭出品「七日」 16日から /栃木】

 

地元・大田原市で映画製作を続ける渡辺紘文監督(33)が同市内や那須町で撮影し、昨年の第28回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門に出品された「七日」の上映会が16日から、大田原市内で開かれる。

 

渡辺監督は弟で音楽監督の雄司さんらとともに2012年10月に映画製作集団「大田原愚豚舎」を設立。低予算でも質の高い映画作りに取り組んでいる。

 

「七日」は、北関東郊外の農村を舞台に、祖母と2人で暮らす牛飼いの男の7日間の生活を描いた110分のモノクロ作品。俳優の経験もある渡辺監督が牛飼いの男を演じ、祖母役は渡辺監督の実の祖母、平山ミサオさん。キャストは2人のみで、せりふは全くない実験的な作品となった。

 

上映会は、16日=大田原市総合文化会館(午前10時、午後2時)▽17日=同市ピアートホール(午後2時)▽24日=那須与一伝承館(午前10時、午後2時)−−の市内3会場で行われる。

 

各回で渡辺監督と雄司さんの舞台あいさつも行われる予定。17日の上映会では、午前10時から英国・レインダンス映画祭など6カ国の映画祭に出品された前作「そして泥船はゆく」(2013年)の特別上映もある。

 

渡辺監督は「テレビドラマや商業映画の観点から言う『面白さ』とはかけ離れた作品かもしれないが、世界にはこのような映画も存在するのだと知ってもらえればうれしい」と来場を呼び掛けている。

 

当日券のみの販売で、1000円。開場とチケット販売は、各回上映開始時刻の30分前を予定している。【加藤佑輔】


NEW!!2016.4.9

【“とちぎ朝日”に『七日』の記事が掲載!!】

 

2016/4/8

 「とちぎ朝日」に、大田原愚豚舎第2回作品『七日』の大田原上映についての記事が掲載されました!!

 

皆様、ぜひご覧ください!!

 

「とちぎ朝日」さまありがとうございました!!

 

【大田原愚豚舎の最新作市内で上映会】

 

大田原市を拠点に映画製作を続ける大田原愚豚舎の最新作「七日」の上映会が16、17、24日の3日間、同市内で開催される。

 

愚豚舎は渡辺紘部監督と弟の渡辺雄司音楽監督による映画製作集団。昨年10月開催の第28回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門に正式出品された作品だ。

 

県北の自然を舞台に、祖母と暮らす牛飼いの青年の7日間を描いた。

 

キャストは渡辺監督と実の祖母の2人だけ。同市内と那須町でロケが行われ、全編モノクロ【110分】のセリフが一切ない実験的作品だ。

 

2013年の前作「そして泥船はゆく」【88分】は国内外の映画祭で評判を呼び、今年もアメリカで再上映された。5月には水戸市でも上映が決まった。

 

上映会は16日が大田原市総合文化会館ホール、17日は同市ピアートホール、24日は同市那須与一伝承館多目的ホール。いずれも午前10時と午後2時の2回上映。

 

各上映会に渡辺兄弟が来場し、舞台あいさつする。

 

17日午前10時は「そして泥船はゆく」が上映される。

 

チケット【当日券のみ】は1000円。

 

問い合わせは、那須与一伝承館:0287・20.0220


NEW!!2015.11.17

第28回東京国際映画祭で『七日』上映後に開催されたQ&Aの模様です。

登壇者は製作・監督・脚本・編集・主演・渡辺紘文。製作・音楽監督・渡辺雄司。撮影監督・バン・ウヒョンの三人です。ぜひご一読ください。

左から 渡辺雄司さん(製作/音楽監督)、渡辺紘文監督、方又玹さん(撮影監督)

 

10/28(水)日本映画スプラッシュ『七日』の上映後、渡辺紘文監督、渡辺雄司さん(製作/音楽監督)、方又玹さん(撮影監督)をお迎えし、Q&A が行われました。

 

「同じような生活が徹底的に繰り返されることで、

 人間の生活の奥底にある感情だとか、真実みたいなものが見えてくるんじゃないか」

 日本映画スプラッシュ『七日』-10/28(水):Q&A

 

渡辺紘文監督(以下、監督):今日は朝早い時間から映画『七日』をご覧いただき誠にありがとうございます。こういう作品ですので、どれだけの人に観ていただけるのか、僕はとても不安な気持ちだったのですが、映画を最後まで観ていただき、皆さんに残っていただけることは本当に嬉しいです。

 

渡辺雄司さん:皆さん朝早くからお越しいただきましてありがとうございます。このような機会でお披露目する機会ができて本当に嬉しく思っております。

 

方又玹さん(以下、方さん):今日は観に来ていただいて本当にありがとうございます。意見や質問がありましたらお願いします。

 

Q:前作『そして泥船はゆく』の後に次の作品の構想がすぐあったのか、あるいは方向性については若干模索された時期があったのか、この『七日』にいたるまでのプロセス、考え方を含めて教えていただけますか。

 

監督:まず二年前『そして泥船はゆく』を東京国際映画祭で上映していただいたんですが、その時のQ&Aでおそらく「僕はこれから喜劇映画を作り続けていきます」「僕はコメディ作家だ」というようなことを言った気がします。

でも実際はシナリオをその後何本か書いても、自分の中で『泥船』から新しい喜劇を作る方向に踏み出すのにどうも納得のいかない部分があって、行き詰まってしまった時期があったんです。僕の映画は人間の生活というものを基本に置いて、そこから喜劇性なら喜劇性、社会性なら社会性というものを導き出していく。それで、どういうもの作ろうかと考えた時に、今回の『七日』という、本当に生活のみに突出したというか、そこに全身全霊をこめた映画にたどりついたという経緯があります。

 

Q:自分が主演というのはどの段階で決まったのでしょうか?

 

監督:これもかなり紆余曲折があったのですが、自分たちの映画製作団体はものすごく小さくて、後ろ盾もなければ予算もないという状態で映画を作ってます。なので『泥船』と同じやり方は成り立たないということが一つありまして。僕の目的というのは『七日』という映画を作ったらそれで終わりじゃなく、その後も次々と作品を作り続けていかないといけないし、それだけ作りたいものがたくさんある。なので、一度挑戦的なチャレンジとして、自分主演というものを作って罵倒されればと。文句も言われようが、そういう覚悟の上で一回挑戦してみようということで、それでまず自分をキャスティングしたというのがあります。

 

Q:一つの決意表明みたいな思いでいるということでしょうか?

 

監督:そうですね。はい。

 

Q:雄司さんは共同制作というか、一緒に作ってこられているわけですが、監督とはどのようにディスカッションをされましたか?

 

渡辺雄司さん:僕たちは普段の会話から本当に映画の話ばかりなので、散歩しながらでも常に、この映画はああいうところが好きだとか、こういうのがあるのが面白いとか。製作国がどことか関係なく全ての映画を観て、こういう考えはいいなとか。作品を作るような話し合いというよりは、普段から話していることをそのまま映画にしてしまうような。本当に自然に作っちゃう感じだと思います。

 

Q:映画のコンセプトや監督主演ということについては衝突はなかったんでしょうか。

 

監督:どういう作品を作るかということについては対立はないわけですが、今回僕が出ると決めた時は雄司のみならず、方又玹も「大丈夫なのか」という前作以上の不安がありまして。まず第一にお客さんが絶対入らないだろうと、誰がお前を観たいんだということがありました。実際その名残りとして、この映画はバックショットが非常に多いと思うんですが、方又玹が「やっぱりお前の顔は映す顔じゃないよ」とか「そんなことはないよ、俺の顔も映せよ!」みたいな、いろんな議論やぶつかりがありました。

 

Q:監督はすごく画面に映えるというか、フォトジェニックというか、ある意味すごく映画に対してのすわりがいいと思うんですけど、方さんは最初に企画の話を聞いた時はいかがでしたか?

 

方さん:正面から映すとこはちょっと危ないんじゃないかと思ったんですけど、基本的にはあんまりないです。そういう演出だったし。

 

Q:『泥船』に引き続きモノクロにするというのは最初から?それは監督ではなく方さんの決断ですか?

 

方さん:そうですね…

 

監督:この映画はこういう話だ、というのをまず又玹に伝えて、じゃあどういう画でいこうかということを話して、前回の『そして泥船はゆく』の時もそうだったんですが、一つは自分たちが思うような色彩はなかなか出しづらいというのがまずあるというのと、この『七日』という作品は結局、色彩を画に持たせてしまうと、色があまりに余計なことを説明しすぎてしまうということがありまして。又玹と一緒に今回も、かなり変えてはいるのですが、白黒でいくということは決めました。

 

Q:監督の映画は初めてですが、弁士のいない無声映画のよう感じました。音楽とか風の音とか虫の音とか、そういうものが弁士のように映画を飾っているように思えました。

 

監督:今回の映画は台詞が無いので、自然な音とか音楽とか含めて、そちらにかなり雄弁に語らせないといけないということで、徹底的に演出してあります。自分としては細部まで演出しているつもりです。なので、そこまで耳を傾けて画面に対峙していただくというのは、創作者冥利につきますというか、本当に理解して観ていただいたのだなということで嬉しいです。

 

Q:劇中で出てくる歌の「サラバンサラバン」は、どこの歌でどういう意味なのですか?

 

渡辺雄司さん:一応歌っているのはアイヌの民謡なんですね。ただ僕としては、これは前回の『泥船』のころから話さないといけないんですが。僕は西洋音楽をずっと勉強してきたので、西洋音楽がかっこいいという意識があるんです。ロックにしろベートーベンにしろ。例えば海外のサイレント映画のように、なんでもいいんですけど、例えばチャップリンとかそういうのは、僕からするとすごく西洋的なオペラチックな感じです。今回、日本の映画で生活をただ映すサイレント映画をやる時に、自分の中で今まで好きじゃなかった演歌とか、昔の日本の音楽をすごくちゃんと聴いてみて、すると日本の音楽というのは、自分がいくら否定たりしても、祭囃子とかを聞いて血が騒ぐみたいな、それは否定できないと思って、本当にこだわって音楽の演出はしたつもりです。

あと「さらば」の意味ですが、「さらば」は日本語だと「さようなら」、韓国語だと「生きろ」という意味になるらしいんですよ。だから僕としては、あそこの歌に対して言葉の意味はつけてないんです。ベートーベンなんかも言っているのですが、音楽というのは知恵や哲学よりも高度な啓示であるということ。音楽そのものを聴いていただいて、あの男の生活に合わせた音楽を書くように努めたつもりです。

 

Q:繰り返し流れる主旋律はどちらかというと西洋音楽寄りだと思います。そこは両者を用いようという考えが表れたのでしょうか。

 

渡辺雄司さん:前回は本当に西洋的なメロディーを考えました。ピアノで作れば十二音階あるような。今回の歌はもう自然に思いついて、散歩中に鼻歌で歌えるような、言ってしまえば誰でも歌えるような曲を考えたんですね。「あいや~~」っていう日本の音楽は、僕はいい意味で抑揚が無いと思っているんで、メロディーには表せないんですよ。だからピアノではなかなか弾けないという音楽をすごく強調している。ただ西洋的な書き方が残っているとすると、僕はやっぱり西洋の、特にクラシックの作曲家とかオーケストレーションの影響を受けていますので、そこはたぶん西洋的だと思っています。

 

Q:監督自身の生活は映画にどの程度反映されていますか?

 

監督:僕は農業とか一切やっていない人間なので、自伝的な要素を入れ込んだ作品と言われるとちょっと。まぁおばあちゃんとの生活という部分では自分の生活に近い部分もあるのですが。僕が興味を持つ人間の生活の一つに、人間と別の生命との関わりみたいなものがありまして、彼の労働に関しては、今回は牛飼いというかたちになりました。

 

Q:この映画を観ている方はだんだんと反復にはまっていくというか、それに引き込まれていきました。反復の部分にしろ、他の考え方や描き方にしろ、監督がインスパイアされたものは何かありますか?

 

監督:今回の最大の演出意図というか、この映画で一番賛否両論を呼ぶところですよね、同じような生活が徹底的に繰り返されるという。それは僕が撮影のはじめから、「こういうことをすることによってこういう答えが出るんだ」というのを考えていたというよりも、自分の中の挑戦として、こういう映画表現をしたら、何か人間の生活の奥底にある感情だとか、真実みたいなものが見えてくるんじゃないかと。だから答えを最初から持って作ったというよりもむしろ、自分が何か答えに近いものを見るために挑戦したというのが大きな理由としてあります。

 

Q:家を出て新聞をとってまた戻ってくるとか、歯磨きの時間とか、それが毎日少しずつ長かったり短かったり。反復の中でほんの少しの違いみたいなものがありあます。編集をしながらどのような発見がありましたか?

 

監督:この映画を完成させて、自分が求めていた答えが出たというよりも、自分の中では新たな課題が出たなという方が正直なところです。人間の生活というものをまるまる掴みとって、それを映画に落とし込むんだという考えで僕は今回の映画に臨んだわけですけれども。やっぱり生活を徹底的に描くということは途方もない作業だなと。むしろ僕はその新たな課題が見つかって、次に作る作品にまた疑問を持って挑んでいくしかないなと、そういう風に思っているというのが正直なところです。

 

Q:ロケ現場はどちらですか?

 

監督:栃木です。

 

Q:あのおばあちゃんにはどういう演技プランがあったのでしょうか。少し失礼な質問ですが、おばあちゃんは映画に出演されていることを自覚されていたんでしょうか?

 

監督:実は『そして泥船はゆく』にもあのおばあちゃんは出演してまして、僕たちのおばあちゃんなんですけど、その時は96歳でした。「おばあちゃんこれから映画撮るから映るよ」と言うと「あぁ、好きにしな」みたいな感じで撮っていて。で、『泥船』がデイサービスとかいろんなところで上映されているもんですから「おばあちゃん女優さんだね」みたいに周りがもてはやすんですよ。今回はなまじ1本撮っているだけに「おばあちゃんこれから映画撮るよ」って言うと、「私は女優だからやりなさい」みたいな、女優だと自覚し始めてまして、恐ろしいことにですね。

ただ、演技プランは立てられないですね、おばあちゃんは。立てられないよね。

 

渡辺雄司さん:立てられない。

 

監督:そうなんです。座ってて「今からご飯食べるシーン撮るからね」って言うと「おばあちゃんはもうお腹いっぱいだから」みたいなことが起きるわけですよ。そういう感じで自由なんです、おばあちゃんは常に。

 

Q:監督は割と規則正しい生活者の役で、梅干を食べるシーンではちゃんと箸を逆さにしてつまむんですが、おばあちゃんはそのまま直箸するんですよね。あれは完全なアドリブなのでしょうか。

 

監督:自分でも自覚がないくらい自然にやってるところがあったりします。正直僕も役者経験なんか本当にないもんですから、僕が一生懸命やってても、おばあちゃんの方にはあんまり気がまわっていないかもしれないです。ただ自然な雰囲気をとにかく出そうというところで映画を作っていますので、食事するシーンは「じゃあおばあちゃんいつも通り食事しようね」みたいなところで始めてたりします。

 

Q:ものすごく自然でしたが、ドキュメンタリーなんですか?

 

監督:結構ドキュメンタリーなのかと言われるんですけど、違いますね。完全な劇映画として作るというのは最初から決めていました。

 

Q:監督はタルコフスキーやタル・ベーラなどの作品をイメージしましたか?

 

監督:正直完成してからそういう作品だと言われるんじゃないかな、というのはありました。まぁタルコフスキー監督とは思わなかったですが、タル・ベーラとか、実際に観た方の中では、小林政広監督の『愛の予感』を想起したとか、新藤兼人監督の『裸の島』を思い浮かべたという方もいたんですが、僕は今回の映画に関しては特に偉大な監督さんから大きなインスピレーションを受けてやるというのはそこまで大きな意識はしていません。とにかく自分の思い描く生活というのを徹底的に描こうという。むしろ(偉大な監督達の)名前が出ることは恐れ多いことなんで、光栄に思うというか、震え上がる思いです。

 

Q:カメラは何を使いましたか?また移動ショット等をどうやって撮ったのか教えてください。

 

方さん:カメラはCANONの一眼レフの7Dというモデルで、レンズは標準とワイドと望遠の3本のズームレンズを使いました。あと小型カメラにつける、ステディカムで撮りました。

 

Q:撮影するのにどれくらいの期間がかかりましたか?

 

監督:撮影期間は約2週間ですね。1週間の話なのですが、2週間かけて撮影しました。

 

Q:実際に、主役を演じながら演出することの難しさはどんなところですか。

 

監督:最初は途方もなく難しいことだろうと思ってやっていたのですが、僕たちは少人数でやる映画製作集団なので、今回もメインスタッフは3人で、あとは僕のお父さん、お母さんが手伝ってくれたというような作品です。なので芝居を演じるにあたって変なプレッシャーがかかってくることはありませんでした。ただ、難しかったのは演出的な狙いとして、人間の生活の奥底にあるものを、映画として伝わるものが撮れるだろうかというところです。それが伝わったかは観ていたお客様が決めることなので、伝わっていれば嬉しいです。

 

Q:ご自分、おばあちゃん、牛という3人をメインキャラクターにしようと思った理由や意図はありますか?

 

監督:今回の映画は他のキャラクターをあまり出したくなった。むしろ、この3人以外にキャラクターがいるとすれば、お客様がおっしゃっていたような自然の風景といったものです。僕は風景の中に無数の生命体がうごめいていると思うんですね。虫の声だとか、小鳥のさえずりだとか、蛙の声だとか。全て含めて登場人物であると思っています。

 

Q:監督が壁に球を投げて一人キャッチボールをするシーン、こんな激しい孤独はちょっとないなというくらい衝撃的でした。あのシーンは最初から脚本にあったのでしょうか。

 

監督:あのシーンを入れようというのは決めていました。もちろん壁当てをしているということで、人物のある種の孤独感と生活というものを見せるという演出意図はあったのですが、むしろ僕も実生活でやっているので、孤独な人間なのです。もしあそこで何か人間の悲しみだとか孤独のようなものを感じてくれたら、嬉しいなと思います。

 

Q:最後に一言ずつお願いします。

 

方さん:まだまだ足りない部分が多いので、いい映画を作るために努力します。

 

渡辺雄司さん:今後も映画の勉強について、精進していくつもりです。この映画は言葉がない分、自分で考えていただく時間を持ってもらえると良いと思います。映画はもともと自分一人で考える時間が絶対必要なので、そういうことを考えるきっかけになればいいなと思いました。

 

監督:僕たちは2年前に『そして泥船はゆく』という映画を作ってこの場所に帰ってきたんですが、実は僕たちの映画を発見してくださったのはこの東京国際映画祭が最初だったんです。東京国際映画祭に来てくださるようなお客様に出会うことができて、本当に心から感謝しています。再びこの素晴らしい場所に戻って来られるよう、さらに努力を重ねて頑張っていきます。どうか厳しく、温かい目でこれからも見守っていただければ嬉しいなと思います。今日は本当にありがとうございました。


NEW!!2015.11.17

【海外映画サイトIndie WIREの記事より】


映画サイトIndie WIREの記事です。

監督・渡辺紘文のインタビュー及び、映画『七日』に関する記事も一部掲載されています。

是非御一読下さい。Indie WIREさま、ありがとうございました。


IndieWire has a 3-page writeup on this year’s TIFF,s featuring great comments from Kohei Ando, Momoko Ando, Masato Harada, Hirobumi Watanabe and others


■INDIE WIRE公式サイト(全文)

http://www.indiewire.com/article/after-kurosawa-why-the-japanese-independent-film-industry-is-hopeful-for-the-future-20151110?page=3


(抜粋)

After Kurosawa: Why the Japanese Independent Film Industry is Hopeful For the Future

The 2015 Tokyo International Film Festival provided a window into the current state of the nation's film industry, as well as the lingering shadow of its past.


・・・・・・・・・


Writer-director Hirobumi Watanabe's "7Days," shot entirely in black and white with close to zero dialogue, was one of the most aesthetically and narratively unconventional films at this year's festival. He also expressed regret at this risk-averse mainstream mindset, commenting on its infiltration into the independent film arena as well. "Movie stars that are only well known domestically are beginning to be recycled in indies, too," he said. "The same fan base gets tapped into over and over again, and it leads to the decline of 'pure' filmmaking, along with Japanese cinema becoming increasingly ignored by global audiences."


・・・・・・・・・


■Risk Takers

If the lineup at TIFF — be it in the Japan Now or the Japanese Cinema Splash sections — is any indication, there is certainly a more than worthy pool of filmmakers emerging in sharp relief from their play-it-safe counterparts.

Momoko Ando's "0.5mm," for instance, spotlights the lack of emotional support for Japan's aging population through the story of a young caretaker who brings new zest to the lives of the elderly men she works for. The film draws from the director's own eight-year experience of looking after her grandmother. The film "comes from a very personal space rather than a desire to adhere to any industry-created norms," Ando said. "I knew that only by embracing the elements of my own life — my nationality, my family, and my gender — could I really begin to carve my niche and make films as myself.

Watanabe's "7Days" also has autobiographical roots, based on his wish to honor his own grandmother, whom he credits for raising him. A silent, art-house style portrait of a cowherd's repetitive routine between the farms and life at home with his aging grandmother, the film is anything but a safe commercial bet — and the filmmaker acknowledged as much. "I have zero aim for a box office hit," he said. "Nobody asked me to make this film, I decided on my own to make it the way I wanted to, with the freedom to take out anything I felt was getting in the way of my vision…If one person finds it meaningful, then I think I've accomplished something."


NEW!!2015.11.17

【Review of Watanabe Hirobumi's Nanoka (七日, 7 Days) 】

第28回東京国際映画祭正式出品作品・渡辺紘文監督作品『七日』

海外映画サイト・Sonatineに、イタリア語による新しいレビューが出ました。是非ご一読ください。

素晴らしいレビューをありがとうございました。
■SONATINE:  http://sonatine2010.blogspot.jp/2015/11/nanoka-7-days.html


■Review of Watanabe Hirobumi's Nanoka (七日, 7 Days) 

■Nanoka (七日, 7 Days)

■ Italian (language)

■http://sonatine2010.blogspot.jp/2015/11/nanoka-7-days.html

■Nanoka (七日, 7 Days).

■Regia, soggetto e montaggio: Watanabe Hirobumi. 

■Fotografia: Woo-hyun Bang. 

■Musica: Watanabe Yuji. 

■Attori e personaggi: Watanabe Hirobumi (uomo) 

             Hitayama Misao (anziana).

■Produzione: Foolish Piggies Films. 

■Durata: 110 minuti. 

■World Premiere: Tokyo International Film Festival, 25 ottobre 2015.

■Link: Sito ufficiale (in giapponese)

■Punteggio ★★★


Un uomo vive in un piccolo villaggio fuori Tokyo assieme alla sua anziana nonna, i suoi giorni sono cadenzati da una monotona quotidianità, la colazione, il lavoro nella stalla e le lunghe camminate.

Dopo il felice esordio alla regia con And the Mud Ship Sails Away del 2013, i fratelli Watanabe ritornano con un altro lavoro che sul piano formale risulta ancora più estremo del primo. 7 Days è un lavoro senza dialoghi e parlato, girato in bianco e nero e sostanzialmente privo di una storia vera e propria, un film che alla sua premiere al Tokyo International Film Festival ha finito per dividere molto, stroncato da tanti e apprezzato da pochissimi. 

Praticamente seguiamo sette giorni nella vita dell'uomo e della nonna, ognuno dei quali è scandito dalle stesse scene che si ripetono, al mattino il lavello, la colazione, la camminata per portar fuori la spazzatura, le lunghe camminate nei campi per recarsi nella stalla - forse le scene migliori del lavoro soprattutto grazie alla musica - le vacche, il ritorno a casa e quindi la cena. L'attenzione dello spettatore si focalizza inevitabilmente sull'immagine dell'inquadratura e tutto ciò che essa contiene: i campi, gli alberi mossi dal vento, gli interni della casa, le mucche, i tralicci che si stagliano nella pianura, sono tutti elementi "paesaggistici" che risaltano anche grazie all'uso del bianco e nero del digitale. Anche la musica naturalmente gioca un ruolo fondamentale, sia quella strumentale sia quella cantata come un lamento, sorta di elemento circolare che accompagna le lunghe camminate del protagonista lungo i campi, una musica la cui cadenza quasi ipnotica si mette in risonanza con la monotonia ed il tedio della vita quotidiana dell'uomo e del paesaggio circostante. Una parte importante del lavoro è inoltre il sound design, il vento soprattutto, ma anche il mormorio della televisione e dei macchinari usati nella stalla, il ronzio delle mosche ed in genere tutto ciò che di solito viene relegato in secondo piano, dal punto di vista sonoro, proprio per l'assenza di parole, viene qui trasposto e proiettato in primo piano, in evidenza. 

Ci sono alcuni momenti di scarto nel film, momenti comici, in verità uno solo forse, quando l'anziana nonna picchia sulla pancia del nipote che dorme, e nel paesaggio negli ultimi due giorni, sabato e domenica. Il sabato infatti dopo aver giocato da solo con una palla da baseball, l'uomo si reca al cimitero, come spesso accade in Giappone collocato su una collina, e da qui vediamo alle sue spalle una piccola cittadina. Un particolare minimo ma in un film dove tutto si ripete quasi allo stesso modo, si tratta di uno scarto visivo che funziona come una piccola rivelazione, comprendiamo cioè la geografia della zona ed in che modo la casa del ragazzo e della nonna si rapportino con il centro abitato e con la distesa di campi attorno. 

Oltre ad essere un'esplorazione del paesaggio non urbano giapponese - campi, montagne in lontananza, boscaglia, alberi, rigagnoli - è presente in filigrana, fin dalla scelta della location, il tema della perifericità delle campagne giapponesi rispetto alle metropoli, dove, secondo il racconto dei media, sembra che tutto debba succedere. Un concetto connesso è quello dello spopolamento dei piccoli paesi e di come questo influenzi l'agricoltura e di conseguenza la quotidianità delle vite dei (pochi) abitanti rimasti. Abitanti che sono per la maggior parte anziani: ecco allora il rapporto fra il figlio e la vecchia nonna.

La visione di 7 Days non è facile, si tratta di un film dove non c'è intrattenimento, in certi tratti è difficile da sostenere per la monotonia, ma allo stesso tempo si tratta di una monotonia circolare che ha la forza di ammaliare e di catturare con il suo ritmo, le musiche e le varie tonalità del bianco e nero. Un lavoro che esalta il potere contemplativo dell'immagine in sé e che ha il pregio, per chi apprezza questo tipo di lavori, di creare uno spazio aperto fra l'opera e chi la fruisce.

Sul piano stilistico alcune scene in particolare sono molto studiate e costruite con sapienza, hanno la forza cioè di mantenersi da sole per lunghi periodi di tempo anche se non succede praticamente niente - quelle mattutine al lavello o alcune in esterno fra i campi, ad esempio, sono costruite molto bene e fanno uso della luce naturale davvero ottimamente. 

7 Days è un lavoro che va sicuramente apprezzato per il coraggio di osare, evitando allo stesso tempo la trappola di voler essere troppo cinema art-house e lirico, un film sperimentale ma che non si vende come tale. Anche qui come in molta produzione giapponese contemporanea, il lungometraggio poteva essere sforbiciato di una trentina di minuti, anche se la monotonia, il tedio, la circolarità e la durata del film concorrono a creare una sorta di tempo dilatato funzionale allo stile ed alla riuscita del film stesso. 

Ora la speranza è che i fratelli Watanabe non si credano Lav Diaz o Bela Tarr ma che continuino nel loro originale percorso cinematografico in modo indipendente, anche se "piazzare" questo lavoro nei teatri o anche nei festival sarà impresa ardua. [Matteo Boscarol]


NEW!!2015.10.26

【映画.comに『七日』が登場!!】

 

2015年10月25日(日)、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて『七日』がワールドプレミアを迎えました。

映画上映後に行われたQ&Aの様子を映画.comさまが記事としてけいさいしてくださいましたのでご紹介させていただきます。

 

ぜひご一読くださいませ!!

http://eiga.com/news/20151026/12/

 

【渡辺紘文監督、2作連続で98歳の祖母が出演「私は女優」にニッコリ】

[映画.com ニュース] 

 

渡辺紘文監督作「七日」が10月25日、第28回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門で上映され、主演・脚本を兼ねた渡辺監督と、渡辺監督の実弟で音楽を担当した渡辺雄司氏、撮影監督のバン・ウヒョン氏が、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われたティーチインに出席した。

 

映画は、北関東郊外の農村を舞台に、牛舎で日々黙然と働く男と、年老いた祖母とのふたりで暮らしを静かに描く。自然の中で繰り返されるふたりの生活が、セリフを排した白黒映像で映し出される。“おばあちゃん”役の平山ミサオさんは、渡辺監督の実の祖母で、2年前の第26回東京国際映画祭の同部門に出品された渡辺監督作「そして泥船はゆく」に続き、2度目の映画出演を果たしている。

 

渡辺監督は、98歳の実祖母の出演について

「前作のときは映画を撮ると言っても全然気にしていなかったが、前作がいろんなところでかかった。デイサービスに行くと“女優さん”と言われたりして、今作では『私は女優だから』という感じになっています(笑)」とほほ笑ましいエピソードを披露した。

 

また、観客からハンガリーの鬼才タル・ベーラ監督の作風に近いとの意見があり「インスパイアされたか?」と質問が飛ぶと、「タル・ベーラ監督が好きで見てはいますが、ベーラ監督はじめヨーロッパの映画と僕たちの映画が違うのは、神さまの位置が違うところ。僕が今回描いた作品で自然があんなにたくさん出てくるのは、八百万神、生命のようなものを描こうとしていたからです」と明かした。

 

さらに、今作のバジェットにも言及し、「『そして泥船はゆく』はプールの監視員をして貯めた50万円で製作しました。今回はそれよりも低い。スタッフも4人から3人になりました(笑)」と自嘲気味。しかし「追い込まれるといろんなアイデアが浮かぶということは身に染みた」と低予算映画の醍醐味を伝えた。今作も「激烈な賛否両論を呼んでいる」というように「面白いと言ってくれる人もいれば、ゴミだという人もいるから映画は面白い。常に挑発的な、攻撃的な面白い作品を作り続けていきたい」と今後の展望を語った。


‘I’m an actress!’

Director Hirobumi Watanabe’s 98 year-old grandmother beams with a smile for being able to perform as an actress twice in a row!

©2015 TIFF

■Director Hirobumi Watanabe’s film 7Days was screened on October 25 as part of the Tokyo International Film Festival’s Japanese Cinema Splash section. The director, who also stars in the film, appeared together with younger brother and musical director Yuji Watanabe, and cinematographer Bang Woohyun, at the TOHO CINEMAS Roppongi Hills for a teach-in about the film.

 

Set in a farming village in the outskirts of northern Greater Tokyo (Kanto) area, the film depicts the quiet life of a man who lives with his aging grandmother and works day after day at a cow shed. The pair repeat their daily routine in tune with nature, all portrayed in black and white without words. Actress Misao Hirayama, who plays the role of “Grandma”, is director Watanabe’s actual grandmother. This is her second appearance in the feature films, the first being And the Mud Ship Sails Away…, which was screened two years ago as part of the same section at the 26th Tokyo International Film Festival.

 

Watanabe spoke to the audience about working with his 98 year-old grandmother. “When making the first film, I’d tell her that I’m going to start recording but she wouldn’t care at all, but the film was big in a variety of ways. When her nurse visited every day she’d be greeted ‘Madam Actress’, so for this film she’s become like, ‘Well, I am an actress, so…’,” he grinned.

 

One audience member compared Watanabe’s film style to that of acclaimed Hungarian director Béla Tarr, and asked, “Does he inspire your work?” Watanabe answered, “I enjoy Béla Tarr and watch his films, but with Tarr and all European films, the difference with my film is that the position of God. In this film, nature appears so much because I wanted to depict Ya-o-yorozu no kami (Shinto) gods meaning “uncountably many” and life itself.

 

Watanabe also spoke about the film’s budget. “To make And the Mud Ship Sails Away…, I worked as a lifeguard at a swimming pool to raise 500,000 yen. This film took even less. Even the crew members dropped from four to three,” he chuckled self-deprecatingly. But he spoke of the positives of working on a low-budget film. “I really learned that, when you become cornered you think of all kinds of ideas.” Watanabe expects that the reception of this work will be “either love it or hate it”, but spoke of his desire towards these types of films. “Film is interesting because you’ll have some people that will tell me they found it interesting, but others that will tell me it’s rubbish. I want to continue making films that are consistently provocative, offensive, and interesting.

 


NEW!!2015.10.24


【10月24日、朝日新聞に『七日』が掲載!!】


2015.10.24

朝日新聞朝刊(栃木面)に大田原愚豚舎作品『七日』の記事が掲載されました。

朝日新聞様、ありがとうございます。


【栃木)那須野で撮影の「七日」東京国際映画祭に】


映画制作集団「大田原愚豚舎(ぐとんしゃ)」の渡辺紘文監督(33)の第2作「七日」が第28回東京国際映画祭にノミネートされ、25日から東京のTOHOシネマズ六本木ヒルズで上映される。人はなぜ生きているのか、という問いを那須野の風景の中で描いた作品。新たな地元の魅力を発信する。


渡辺監督は大田原市出身。地元で映画制作を続け、愚豚舎としては2年前に同映画祭にノミネートされた「そして泥船はゆく」に続く第2弾だ。


「七日」は、北関東の農村を舞台に主人公の牛飼いが祖母と2人で暮らす姿とそれを取り巻く風景を、淡々と長回しで追う1時間50分のドラマ。無声モノクロ作品で、主人公は自身が演じた。前作に続き、祖母役を自身の祖母平山ミサオさん(98)、音楽を弟の雄司さん(30)が担当した。


「何もないありきたりの日常を追う。淡々と描くことで人間の生活を丸ごとつかみとる。見えてくる真実を映画で表現できたら」と渡辺監督。

友人の家族から牛舎などを借り、ほとんどシナリオなしに祖母との毎日の食事や、牛飼いの作業を撮りつづけていった。

「那須の自然や、地元の見慣れた風景をバックに、人間はなぜ生きているのか? そんな問いかけを映画に込めた。前作以上に、手応えがある」と話す。


25日は午後8時からで、28日も午前10時50分から上映される。(矢鳴雄介)


NEW!!2015.10.23


【10月23日、毎日新聞朝刊に『七日』が掲載!!】


10月23日(金)毎日新聞・栃木面に『七日』の記事が掲載されました。

毎日新聞さま、ありがとうございます。


【 東京国際映画祭:渡辺監督作品『七日』上映へ

 日本の風土、自分の視点で 大田原、那須でロケ「観客の反応楽しみ」/栃木 - 毎日新聞 】


大田原市で映画製作を続ける渡辺紘文監督(33)が同市内や那須町で撮影した最新作「七日」が、東京で22日始まった第28回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門にノミネートされている。公式上映は25、28日。出品は前作に続いて2作品連続の快挙で、渡辺監督は、音楽監督の弟雄司さん(30)とともに「生まれ育った大田原の美しい自然風景を生かした作品となった。映画祭でさまざまな人に見てもらえるのが楽しみ」と喜んでいる。

                                              【加藤佑輔】


映画は北関東郊外の農村を舞台に、祖母と2人で暮らす牛飼いの男の7日間の生活を描いた110分のモノクロ作品。俳優経験のある渡辺監督が男を演じ、祖母役は渡辺監督の実の祖母、平山ミサオさん(98)。キャストは2人のみで、せりふを一切排した実験作となった。


撮影は大田原市内と那須町で5月中旬から約2週間行われた。男が牛舎で作業する場面は、那須町で畜産を営む渡辺監督の友人家族から協力を得て、リアリティーを追求した。渡辺監督は「言葉で伝えられない人間の感情を作品として表現しようと思った結果、最小限の舞台装置で最大限の描写を追求する作風となった」と語る。


前作「そして泥船はゆく」(2013年)は、英レインダンス映画祭など6カ国の映画祭に出品され、各国の映画関係者や愛好家たちに作品が認知された。渡辺さんは「(映画祭の招待を受け)各国の市街地を歩いていると、逆に日本についてよく考えるようになった」といい、「日本の風景や風土について自分なりの視点で捉えた作品を作りたい」との思いで今作を完成させたという。


日本映画スプラッシュ部門は、独創性とチャレンジ精神にあふれたインディペンデント作品に焦点を当てており、今回は8作品が上映される。日本映画界期待の才能を世界に発信する目的があり、出品作は海外のバイヤーや報道陣にも積極的に紹介される。


音楽監督の雄司さんは「映画のテーマに沿って、(これまで学んだ西洋音楽から離れ)日本を感じさせる音楽を追求した」と新たな音作りに挑んだ。渡辺監督は「商業映画ではできない強みを詰め込んだ自信作。観客の反応が楽しみ」と上映を待ちきれない様子だ。


「七日」はTOHOシネマズ六本木ヒルズで25日午後8時からと28日午前10時50分からの2回上映。映画祭後は県内での上映も予定しているという。

 


NEW!!2015.10.12
【下野新聞朝刊に『七日』が掲載されました!!】


2015.1010

下野新聞朝刊に、大田原愚豚舎最新作『七日』の記事が掲載されました。

http://www.shimotsuke.co.jp/category/life/personality/news/20151010/2108816


下野新聞さま、ありがとうございました。


【大田原の渡辺監督・2作目「七日」が完成・実験作、せりふなし110分・東京国際映画祭で上映へ】


【大田原】

紫塚3丁目、映画監督渡辺紘文さん(33)の新作「七日」が完成した。

県北を舞台に、せりふが一切ない実験的な作品で、22~31日に東京都内で開かれる第28回東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門にノミネートされた。

デビュー作「そして泥船はゆく」に続いて2作品連続の快挙で渡辺さんは「どう評価されるか不安もあったが、選ばれていいチャンスをもらった。前作より自信作」としている。

大田原を舞台に怠惰な若者を通して生きるとは何かを問うた「そして泥船はゆく」は喜劇だったが、「七日」は一転、一緒に暮らす「牛飼い」の男と祖母の7日間の生活を静かに描き、芸術性の高い作品となった。

5月中旬~6月上旬、市内と那須町で撮影しモノクロ、110分。映画製作集団「大田原愚豚舎」が製作した。

前作は6カ国九つの映画祭で主に招待出品され、国内外で反響を呼んだ。

渡辺さんは「次に何ができるのか」と自問し「人間の奥底にあるものが、自然に出てくるような作品を撮りたい」との思いを今回の脚本に込めた。

俳優の経験を生かして自身が男役、祖母平山ミサオさんを祖母役とした。キャストはこの2人のみ。

前作同様音楽監督を務めた弟の渡辺雄司さん(30)も「(学んできた西洋音楽から離れ)今回は日本的音楽を追求した」と新たな音づくりに挑んだ。

「七日」は日本映画スプラッシュ部門8作品の一つとして同映画祭で25日、28日の2回上映される。渡辺監督は「この映画がどう判断されるのか不安と同時に楽しみ」と述べた。